杜氏Chief Brewer At A Sake Brewery

杜氏



木下醸造所

 文久2年創業以来、常圧蒸留の焼酎を作り続けている木下醸造所。焼酎も1年間で五百五十石という限られた量しか製造できない。石積みの麹室、昔ながらのかめ、時が止まったような蔵の中で、先人の智恵で造り上げた手法を守りながら麹をつくり、もろみを造る。常圧焼酎が生む焼酎独特の芳醇な香りと味は、個性のある旨さとなるという。 製造の責任者である木下さんは、製造に関わって8年、「これまでと大きく違うものを作っていくわけではないです。昔ながらの味を守っていくというのが私の仕事ですし、それが私達に合っているのです」その言葉には、焼酎への揺るぎない自信が感じられ、先人達への感謝の気持ちが伝わる。焼酎ブームもあってか、今まで取引のなかった所や人から問い合わせもあり、またリピーターも増えているという。
 「リピーターのお客様が増えると、あぁ飲んでいただいている人がいると実感します」としみじみ語る。




ライン

高橋酒造

 年間二万石、関連会社である白岳酒造研究所を合わせると十万石の生産量を誇る、まさに球磨焼酎をリードし、全国レベルへ導いたといえる高橋酒造株式会社。活気的な減圧蒸留を採用、最新設備の導入、自動化、品質管理、流通システムの完備などが大量生産を可能にしている。
 その工場のトップが藤本さん。藤本さんは、焼酎生産に携わるようになって25年、「いくら最新設備とはいえ機械に任せきりと思われては大きな間違いです。焼酎は生き物ですから、もろみの発酵状況や、温度管理など長い経験がないとできません。最終的には、毎日自分の目で、手で見て愛情を持って判断します。大量だから、一つ一つの工程管理が、余計に難しいと思います」と大工場ならではの難しさを話す。
 また「私たちの焼酎は、飲みやすく飽きない。全国に指示される安定した商品を作ることです。まだまだ勉強です」と自分の工場だけでなく業界のリーダーとしての責任感も感じられた。


                                  平成17年10月1日発行「球磨焼酎 vol.1」より 

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